ドイツ歴史学派の沿革 - 先駆者・創始者としてのリスト

F・リストは、ドイツにおける歴史学派経済学の先駆者もしくは創始者として位置づけられている。彼が生きた当時のドイツでは産業革命による工業化がようやく波及してきた反面、政治的には国内が多くの領邦国家に分裂し、近代化の妨げとなる封建的束縛が至るところに存在していた。リストはこのような状況に対し、国内的には市場の早急な統合、対外的には自国産業育成のための保護貿易を主張し、ドイツのブルジョワ的発展を前進させるため生涯を捧げた。

彼の構築した経済学は、「万民経済学」である古典派経済学への批判に基づく国民経済学であり、古典派の「交換価値」理論に対しては「生産力の理論」、普遍的な「価値の理論」に対しては「国民的生産力の理論」を対置し、国民経済の発展段階の相違に十分な注意を払うことを主張した。そして具体的政策としては農業における小農主義、交通網・関税制度など国内流通機構の整備を提唱した。その営為は封建的な旧支配層の迫害によって全く孤立した中で進められたため、彼の生きている間に独自の学派を形成するには至らなかったが、その体系はW・ロッシャーら次世代の学者に継承され、一大学派が形成されることとなった。

参照元:Wikipedia「ドイツ歴史学派