ドイツ歴史学派の概要

歴史学派の経済学は、フランス革命後のドイツにおいて、啓蒙思想への反動として登場したロマン主義歴史主義の思潮を背景として成立し、同時期のイギリスで発達した古典派政治経済学を批判して、各国の独自性を規定する歴史を重視し、すべての経済事象を歴史から説明しようとした。

ドイツ歴史学派はフリードリヒ・リストを先駆者(創始者)とし、経済学史上は、その次世代であるロッシャーヒルデブラントクニースらの旧歴史学派(先駆者リストを含む場合もある)と、シュモラーヴァーグナーブレンターノを中心として成立した新歴史学派に大別される。さらにゾンバルトヴェーバーらより若い世代の学者を最新歴史学派と称することもある。

政治史的に見ると、旧歴史学派は、プロイセン王国によるドイツ統一が進展する時期に活動していたため、発展途上のドイツ工業を育成するための保護貿易政策を主張した。これに対し、新歴史学派はドイツ帝国発足後の時期に活動し、工業化の進展から発生した社会問題を背景に、国家による社会政策を主張した点に特色がある。